櫻堂薬師の涅槃図 附関連文書(さくらどうやくしのねはんず つけたりかんれんもんじょ)
涅槃図は、釈迦の涅槃(入滅)する情景を描いた絵画で、古くから諸寺院の涅槃会に懸用されてきました。画面中央に宝台(寝台)に横たわる釈迦を配し、その周辺および画面下方に嘆き悲しむ菩薩や仏弟子、俗人などの会衆、また動物を描き、画面上法には飛来する摩耶夫人を描く場合が一般的です。
本涅槃図は、瑞浪市土岐町の櫻堂薬師に伝来した絹本著色の涅槃図で、現在も毎年3月15日に開催される涅槃会で用いられています。画面は縦322センチメートル、幅256センチメートルと縦長で、寝台に横たわる釈迦は比較的小さく、寝台の周りには多数の会衆や動物が動的に描かれており、このような図様は鎌倉時代以降に主流となった涅槃図にみられるものです。
背面には「東濃土岐郡神箆村/奉寄附涅槃像/瑞櫻山法明寺什物」の文字とともに「本願主 中嶋是助用重」、「同施人 小栗久左衛門勝仍」を含む寄進者28名の住所と氏名が記されており、本涅槃図が近隣の住民を中心としながら、長野や京都など遠隔地からの寄進も受けて制作、奉納されたことが知られます。同じく「享保十七壬子歳十一月吉辰/絵師京都/岡村治良衛門」の記載からは、制作年代や場所、絵師が判明します。
さらに櫻堂薬師には本涅槃図の発注、制作に関連する古文書が2通伝来します。現在は一具の文書のように表装されていますが、前半の1通は絵師から表具師への発注書とみられます。また後半の1通は、文字や内容に若干の際が認められますが、涅槃図の背面に記された寄進者28名と同一の氏名等が記されていることから、背面への記載内容を指示した文書とみられます。
このように本涅槃図は制作年代や場所、絵師等が判明する貴重な作例であるとともに、市内に残る涅槃図の中でも最大級に属するものです。
- 指定番号
- 瑞有第53号
- 指定年月日
- 平成28年7月22日
- 指定の別
- 市指定文化財
- 種別
- 有形文化財
- 類別
- 絵画
- 時代・年代
-
享保17年(1732年)
- 員数他
- 1幅および2通
- 所在地
- 瑞浪市土岐町5728 櫻堂薬師
- 所有者・管理者または技術保持者
- 桜堂区
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