上平観音堂の金銅装笈 附木造阿弥陀如来及両脇侍坐像/木造二天王立像(うえだいらかんのんどうのこんどうそうおい つけたりもくぞうあみだにょらいおよびりょうきょうじざぞう/もくぞうにてんのうりゅうぞう)

ページ番号1007619  更新日 令和4年7月14日

印刷大きな文字で印刷

写真:上平観音堂の金銅装笈1

写真:上平観音堂の金銅装笈2

写真:上平観音堂の金銅装笈3

笈は、修験者などが仏具や経典、仏像、衣類などを納めて背負う道具で、大きくは箱笈と板笈の2種に分類されます。箱笈には扉に金具を打つもの、また木彫で花や鳥を表し、彩漆で彩色したものなどがあります。
この笈は、瑞浪市上平町の上平観音堂(上平公民館)に伝来するもので、高さ77.6センチメートル、天井部の幅61.5センチメートル、同奥行は29.0センチメートルです。4本の柱と桟で骨組みを作り、これに板をはめ込んで作る木造の箱笈で、上下2段としています。上段の正面には観音開きの扉を据え、その上方に固定式の袋戸を設け、袋戸の上方には左右に入り込みを付けた山形を立てています。上段両側面には片開きの扉を据え、下段正面にはケンドン板を設けています。全体に黒漆を塗っているとみられますが、上段両側面の片開き扉および脇板、下段正面のケンドン板には漆が塗られていないことから後補材と判断されます。また、四脚は切り取られ、正面の扉を留めるための帖木は失われています。
正面の各部位には彫金を施した金銅板を前面に貼り、山形には中央に将軍地蔵、向かって右に不動明王、左に毘沙門天、さらにその両脇に飛天を表わしています。袋戸には左右に扁平半球形に打ち出した日月を据え、その間に大日如来を中尊とする金剛界五仏、日月の両側に狐と鹿を表しています。
上段の観音開き扉には、それぞれ五重塔を表し、左塔身には金剛界大日如来、右塔身には胎蔵界と思われる大日如来を描き、その左脇板には難陀龍王、右脇板には雨宝童子を表しています。また両側の片開き扉内にも天部像を線刻した金銅板を貼ります。
これらの文様から、この笈は天台系の山岳修験で用いられたものと解されますが、上段の背板内面井「奉納大乗妙典一国/六十六部」の墨書を有することから、全国六十六か国の有名寺社に法華経を奉納してまわる廻国納経で用いられたことがうかがえ、同じく「天正弐拾年」の墨書からは制作年代を知ることができます。
また、上段内部に安置される木造阿弥陀如来および両脇侍坐像(観音菩薩坐像と勢至菩薩坐像)と木造二天王立像は、本笈に安置する目的で制作されたものとみられ、この種の金銅装笈の使用実態を示しているものと考えられます。

指定番号
瑞有第55号
指定年月日

平成29年3月29日

指定の別
市指定文化財
種別
有形文化財
類別
工芸品
時代・年代
天正20年(1592年)
員数他
1背および5躯
所在地
瑞浪市上平町2丁目61
所有者・管理者または技術保持者
大通寺

このページに関するお問い合わせ

みずなみ未来部 スポーツ文化課
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。

歴史文化係 化石博物館 電話:0572-68-7710
歴史文化係 市之瀬廣太記念美術館 電話:0572-68-9400
歴史文化係 陶磁資料館 電話:0572-67-2506
スポーツ推進係 市民体育館 電話:0572-68-0747