化石発見ストーリー
化石発見の経緯
2020年12月より、化石博物館北約500mの月吉トンネル北側で道路の改良工事が始まりました。この工事は地層の掘削を伴うことから、化石博物館が工事期間中に調査を行いました。その結果、2021年9月3日にほ乳類の化石が発見されました。最初に発見されたのは下あごの一部でした。
下あごには歯が残されており、その形からアシカやセイウチの仲間の鰭脚類(ききゃくるい)のものと判断されました。その後、地層には下あご以外にも複数の骨が埋まっていることがわかり、学芸員らによる発掘作業が進められました。
そして、9月11日にはほぼ完全な状態の頭の骨を発掘することができました。写真は、化石が発見された地層であり、赤枠は発見された部分を示します。
どんな地層から見つかったの?
ミズナミムカシアシカ(仮)は、瑞浪層群明世層山野内部層の最下部から発見されました。この地層は、貝化石から約1800万年前の水深10m前後の浅い海で堆積したことが知られています。
上の写真は、工事現場の地層に注釈をいれたものですが、点線を境界に地層が変わります。また、矢印はTu凝灰岩という名前のついた火山灰の地層です。
頭の化石発見時の写真です。矢印は骨の断面で、茶色で複雑な形をしていたためすぐに重要な部位だとわかりました。
頭の骨の発掘秘話
9月11日に発掘された頭の骨は、最初にその一部が露出しているだけで、大半は地層中に埋まっていました。ほ乳類の仲間は頭の骨が大変重要で、この部位を調べると種類がわかるだけでなく、当時の生活の様子を復元することができます。頭の骨は壊れやすい部位でもあるため、壊さないようにハンマーとタガネを使い、手掘りでまわりの岩石を慎重に割りながら発掘を行いました。午後3時に始まった発掘作業は3時間以上続き、無事に発掘できたのは午後6時を過ぎてからです。
上の写真は発掘の様子であり、丸い穴は岩石を割りやすくするためにあけたものです。発掘時のムービーも公開していますのでぜひご覧ください。
上の写真は、発掘直後の頭の化石です。赤枠で囲んだ部分が化石ですが、その大部分が岩石に覆われていることがわかります。矢印の先に鼻孔(びこう:はなのあな)があります。
頭の骨のクリーニング
発掘した頭の骨は、その大部分が岩石に覆われていました。そこで博物館に持ち帰った後、エアーカッターという道具を使いながら岩石を取り除いていきました。少しずつ岩石を取り除いていくと、黒光りする歯があらわれました。上の写真は、クリーニング途中のものですが、黒光りする犬歯が写っています。
そして、発掘作業から半月ほどで頭の骨の上面を覆っていた岩石を取り除くことに成功しました。現在はまだ底面が岩石で覆われており、2021年4月からこの岩石を取り除く作業を進める予定です。
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